アルバムが出来た。
 あまりに久しぶりのアルバムなのでテメーで作ってテメーで感動しています。
12曲。じっくりと時間をかけて作って詩もあれば、スタジオにてノリで書いたものもある。 どの曲にも強烈な思い入れがかり、スピーカーから流れるそれらを聴くとペンを走らせていた日々が一瞬にして蘇る。
 まるで日記みたいだ。

 EAST END × YURI からソロになって初めて録音した、
<僕は僕でだれかじゃない Part for you-It's gonna be alrigth->
--クループ活動休止中に書いた私小説、「僕は僕でだれかじゃない」。 その物語に音を付けるところから僕のソロワークはスタートした。
 「やりたいことを素直にやればいい」
 「僕にしか出来ないことがきっとある」
 そう言えるようになるまで膨大な時間が掛かった気がする。 ラッパーとして僕がやらなければいけないこと、評価されるために必要な音、クールなイメージ、 そんなものは本当は必要なく、ただ楽しんで出来たものをステージで歌い、録音する。 そのシンプルな作業を思い出せたことがこの曲の意義であったと今思う。
 実際、この一年、ステージは楽しかった。特に生バンドとのコラボレーションは最高だった もちろんサンプリングとの出会いも楽しい。誰もが使っていない究極のネタを発見した時の喜びは 見つけた者にしか分からないだろう。 しかしバンドとのステージでは、目の前で数々のフレーズが繰り出され、僕が口ずさむベースラインが 実際の音となってグルーヴし出す。イマジネーション溢れるミュージシャン達との共演はループに慣れた僕には衝撃的だった。

 そして日記は続く。
 この街で見た景色。この街で感じた気持ち。
 擦り切れたジーンズのポケットに入れた小さなノート。 僕はそれに思うことをそのつど書きとめた。 不景気に苦しむ仲間のこと。表面的なマスコミに対しての疑問。 最終電車の中で感じた焦燥感。ライバル。他人と仲間。どうしてだ? 知り合いと友人。日本のこと、世界のこと。意思を持ち始めたロボット。 ポケットの中で育つペット。なんかちがうぞ。ありふれた慰めの言葉。 ただ消費を煽るコピー。お酒。目標。モチベーション。イントネーション。流行。 なんちゃってコラム。口先だけの約束。禁煙と喫煙。時間におわれるサラリーマン。 活字。酒。影響を受けた人物。兄貴のように育った友人と父の死。そして自分。居場所。

 言葉がすべてだった。
 そしてこれほど真剣に言葉とつきあった日々は今までなかった気がする。
 集めた言葉を繋ぎ、思うことを思うままに吐き出した。 出来上がった詩に対して曲を作っていった。 良い出来だと(毎度のことながら手前味噌ですいません)我ながら思う。
 このアルバムを作るにあたり気をつけたこと。
 10年後にも安心して聴ける普遍的な曲。そんなもんだけはつくらない。
 言葉は生ものだ。賞味期限すらないような怪しい缶詰に入った見かけのいい言葉ではなく、 明日にも古くなっているかもしれないが、しかし生きのいい言葉。それで勝負したい。 新鮮な自分の気持ちが宿った自分の分身。 昔の日記をひらくとときどきあまりの青さに赤面することがある。 でもそれはきっとそれだけ正直な自分の気持ちができていた証拠だと僕は思う。 後に僕はきっとこのアルバムを聞き返して照れるときがくるだろう。 それはそれで素敵だ。word music。お早めにどうぞ。
1999.12.24 GAKU-MC
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